エンジニアのための環境構築まとめ

昨今では個人情報保護や情報セキュリティが重要視されつつあり、エンジニアの紳士淑女の皆様は何かと作業環境構築にご苦労なさっている事と思う。今回はそんな紳士淑女の同士の方たちのために、管理者権限が無い環境でいかに作業環境をコソコソ構築していくかを紹介していこう。といっても業務にまったく関係の無いソフトウェアをインストールしようとしているわけでは無い。これらは日々の業務を円滑に遂行するために必要なツール群のインストール方法である。

セキュリティは非常に大事である。そこに異論は無い。しかしセキュリティを強化するが故にハッカー御用達のツール群が使用できないのは「陸に上がった河童」状態となってしまうわけだ。これではパフォーマンスを十分に発揮できないし、その様な状況に置かれるとエンジニアは非常にストレスを感じるのだ。

1. 英語キーボードの問題

レジストリはいじれないので、Windowsの[言語]から「英語(米国)」をインストールし、[Windows]+[Space]で言語を切り替える事にする。IME のいつもの場所に [ENG] と表示されていれば英語(US)キーボードのキーマッピングが使用できる。ただし、日本語(IME) に切り替えなければ漢字は入力できないのと、日本語に切り替えるとキーマッピングは日本語( JIS)キーボードのキーマッピングに戻るので注意だ。また、IME はウィンドウの切り替え時に自動的に OFF になったりする仕様なので少し面倒だ。IME英語キーボードの使用の有無にかかわらず、このような動作をしている。さらに、IME の ON/OFF は [Ctrl]+[Space] などの他の方法に切り替えておき、慣れておくと良い。日本語・英語キーボードの違いや、HHKB のようなキー配置が若干特殊なキーボードを使う場合でも困らずに使用できるようになるからだ。

2. Cygwin

バッチでは貧弱すぎて何も出来ないし、Power Shell など今さら覚えるのは面倒である。Bシェルならば、ありとあらゆる UNIX 環境が標準装備しており動作可能だ。すなわち最強である。よって、Cygwin が無ければ日々の業務の遂行が困難になるのである*1。そもそも C コンパイラも標準装備していない OS は,、OS として足り得るのか*2、と問いたいものである。

Cygwin は管理者権限が無いインストールをサポートしている。コマンドプロンプトを普通に開き以下を実行する。

DOS> setup-x86_64.exe --no-admin

3. Emacs

Cygwin がインストールできてしまえば、Emacs のビルドは簡単である。GNU Emacs の公式サイトから tarball をダウンロードしてビルドするだけだ。また、Emacs 使用中は IME は使用せず SKK を使うため言語切り替えに伴う IME の面倒な問題は発生しない。

4. CTRL キー問題

これはかなりやっかいだ。しかし言語に「英語(US)」をインストールすれば、英語(US)キーマッピングは使用できることはすでに紹介した。では、CTRL キーの変更はどうするのか。これは HHKB を購入するしかない。HHKB により CTRL 問題は物理的に解決する。そして、強化されたセキュリティ環境下ではこの解決方法が、おそらく唯一安全な方法であろう。Emacs ユーザである紳士淑女であれば HHKB は一台持つ価値が十分にある。

5. 高品質なキーボードを選択する理由

設計書であれば誤字脱字程度で、大して問題にならないかも知れない。しかしコーディングにおいては別だ。文字がたった 1 つ誤入力されてしまっても完全にアウトである。文法エラーとして検出されれば良いが、されない場合はバグが潜在化し、後日上長にこっ酷く叱られる事になるだろう。そのリスクを考えれば、HHKB や Realforce のような高品質なキーボードを使う意味があるのだ。決して安い買い物では無いかも知れないが、プロが仕事で使うのならば安い出費だと思えるはずである。ぜひ検討してみて欲しい。もし、周りにそのようなキーボードを使っている人を見かけたら、そういったリスクを普段から深く考えていて実践しているきちんとした人なんだな、という温かい目で見て欲しい(切実)。

6. フォントの問題

プログラマーはエディタに表示するフォントにもこだわる。「美しいコードは美しいフォントから」である。フォントのインストールは管理者権限が無くてもできるので何も問題ないだろう。

7. キーボード持ち込みの問題

まず作業場をよく観察し、すでに持ち込んでいるらしき人がいないか、よくチェックすること。持ち込みできそうな話を切り出せる雰囲気ならば、話のわかりそうな上長に伝える。誰も持ち込んでなさそうな場合は、持ち込みの話をする事自体が NG である。必ず上長の許可を得て持ち込む事。もし不可となった場合は、食い下ったりせず潔く諦める事。自分の立場が悪くなるだけなので絶対にやめるように。
また持ち込み可となった場合、静音仕様でないキーボードは絶対に持っていかないように。キラキラ光るゲーミングキーボードとか持って行くのはありえない。エンジニアとして社会人としての自覚を持って常識的な行動すること。

*1:遂行不能ではないが困難である。例えば「この大木を道具無しで切り倒して欲しい」と依頼された状況を想像してみて欲しい。

*2:Windows の事である。