土用の丑の日

たまには真面目な事を書く!

 

亡くなった親父と最期に食べたのが鰻屋うな重だったな。

姉御(親父の実姉)の何回忌だったか、その後に親子三人で鰻を食おうという事になったのだ。親父はすっかり食が細くなり、大好きなはずの鰻を残していたっけ。親父は耳も遠くなり補聴器を付けていたが、それもあまり効果が無いらしく店内ですごく大きな声で喋る。昭和一桁生まれというのもあるかも知れないがとにかく声が大きい。なので少し恥ずかしく思う自分が居た。昔からあまり人の話を聞かない人なので、あまり会話が噛み合わない。すこし痴呆もあるかも知れない。意思疎通がうまく出来ず、とんちんかんな返しをしてくる親父の姿をとても寂しく感じた。晩年は人の言う事を一切聞かず、頑固な親父で手を付けられない感じだった。昔はそんな聞き分けのない人ではなかったのに、年を取ると人は変わるものなのだなと思った。そんな晩年の親父があまり好きでは無くて少し距離を置いていたのも事実だ。

両親は車、俺は電車だったので、駐車場まで送ってそこで別れた。思えば、あれが最期に見た生きた親父の姿だったな。もっと何かしてあげられる事は無かったかと後悔では無いが思い悩む事もある。まだ父親の墓参りには一度も行っていない。というのもその後、家庭に不和を抱えてしまい疎遠になってしまったからだ。もう何年も実家には帰っていない。

7月28日は土用の丑の日。一週間早いが鰻を食べた。鰻を食べる度に親父の事が思い出される。